(5)WordPressによるWebページの作成方法(初心者向け)

この章の内容について

前回は、情報提供のためのドメイン取得、レンタルサーバー、ネットワーク設定等のインフラ面の説明をしました。今回はそのインフラの上で、実際にWordPressを使ってWebサイトを作っていく方法について説明をしたいと思います。WordPressのインストールやその他細かい使い方については解説書やWeb情報がたくさんあります。しかしながら、あまり細かいことばかりにとらわれていると、木を見て森を見ない状態に陥ってしまうことがありますので、ここではそれらの情報を見るにあたって、留意しておくべき基本的な事柄・ポイントに絞って説明したいと思います。

WordPressの基本構造

テーマとは

WebページはHTMLと呼ばれる形式で書かれています。一番単純なページ(※1)では、Webページに表示する文字をHTMLの中に直接打ち込めばそれがそのまま表示されます。

それに対して、ワードプレスでは表示したい文字等をHTMLの中に直接打ち込むのではなく、データベースに保存する構造になっています。Webページの中にはデータベースにアクセスするためのプログラム(※2)が入っており、ブラウザは表示のたびにデータベースからデータを取ってきてそれを表示するようになっているのです。

また、データベースの中には、例えば投稿であれば、投稿日時、題名、本文といった情報の中身は入っていますが、その投稿をどんな風に見せるかという表示方法に関するデータは入っていません。

では、表示方法に関する情報はどこにあるかというと、「テーマ」と呼ばれる表示のためのテンプレート集の中に入っています。テーマは、世界中で色々な人が開発をしており、無償のものや有償の凝ったつくりのものまで、非常にたくさんのものがあります。従って、テーマを取り替えることにより、同じ内容でも違った表示方法がとれるようになるのです。

※1:HTMLで内容をCSS(Cascading Style Sheet)で表示の仕方を書くのがWebページの一番の基本です。プログラムに興味のある方は、まず最初にHTMLとCSSというキーワードで検索するか、関連する書籍で勉強してみるのがいいでしょう。

※2:WordPressの場合、このプログラムはPHPという言語で書かれています。

Webサイトの作り方(Webサイトの設計について)

どのようなWebページを作るにしろ、またそこでWordPressを使うにしろ別のシステムを使うにしろ、最初に考えなければいけないことはWebページ全体の構成つまり基本設計です。これはツリー構造で考えていくのが便利です。ツリー構造というのは、例えば喫茶店のWebを作る場合を例にとると以下のようになります。トップページが幹で、そこから段々個々のページに枝分かれしていくイメージです。

Webページのツリー構造

ところで、WordPressのデータの最大の特徴は、WordPressは一定の場所に常に表示する固定ページと、ブログのように随時新しいものが入ってくる投稿ページがあることです。例えば企業の紹介のWebページであれば、上記の例で言えば、ご挨拶やお店の地図といった情報は基本的に固定しており、固定ページで作るのに適しています。一方、お知らせのようなものは、随時作られる情報であり、投稿として扱うのに適しています。

何を固定ページとして作り、何を投稿として作るかというのがWordPressを使っていく上で重要なポイントになってきます。

但し、先に答えを言ってしまうと、何を固定ページにして何を投稿にするかということに正解はありません。というのも例えば、全てを固定ページで作ろうと思えばそれもできてしまうからです。それでは固定ページと投稿は何が違うのでしょうか?

次にそれを見ていきます。

固定ページと投稿の違いについて

固定ページと投稿は、文字を打ったり画像を挿入したりといった編集の仕方はほとんどかわりません。では、何が違うのかをまとめると下の表のようになります。

この表を見ると、投稿は投稿日時、カテゴリー、タグといった情報で分類できることが分かります。そうすると、例えばトップページを3行に分けて、左の2行にカテゴリーごとの投稿リストを表示して、3行目に特定のタグが付いた投稿のリストを表示してといったイメージが膨らむと思います。ところが、そういった表示が可能かどうかは、実は個々のテーマに関わってきます。トップページの画面をいくつに分割できるか、分割したところに何が置けるか、投稿リストを置く場合にリストとして抽出する投稿にはどういう条件を設定できるか、そういったことはテーマによって、できる・できないがあるのです。

ですからテーマ選びが重要になってきます。


投 稿固定ページ
一般的な使い方ブログのように随時追加されていく情報の表示。一度作ったらそこに留まるような情報の表示。
付帯データ・投稿日時・カテゴリー(※1)・タグ(※2)・親ページ(※3)
RSS(※4)

※1 カテゴリーは例えば、喫茶店のページであれば、新メニュー情報、キャンペーン情報、イベント情報などが考えられますが、それらを自分で定義します。また、サブカテゴリ―の形で例えば新メニュー情報という親カテゴリーの下にコーヒーや食事といった子カテゴリ―も定義することができます。

※2 カテゴリーが※1のようにカテゴリー→サブカテゴリ―という木構造で分類するのに対し、タグは自由なキーワードをつけることができる機能です。例えば、ガテマラのコーヒーを新メニューに追加することになり、それにあたってキャンペーンも行い、イベントも行うとすると、ガテマラ関連の投稿が新メニューの中にもキャンペーンの中にもイベントの中にもそれぞれ作られるでしょうが、これら3つの記事の関連性を示すものはありません。しかしながら、もしこれら3つの記事にガテマラというタグをつけておけば、そのタグで検索すれば3つの記事を見つけることができるようになります。

※3 親ページに関する情報をどのように扱うかはテーマに含まれるテンプレートによって違います。あるテンプレートでは右側にそのページの親子関係をリストとして表示するかもしれませんし、別のテンプレートでは単純に無視するかもしれません。

※4 RSSとはWebサイトの更新情報を配信する仕組みです。RSSリーダーと呼ばれるツールを持っている人は、登録したサイトより記事の更新情報を入手することができます。RSSリーダーは知る人ぞ知るツール、逆を言えば知らない人は知らないツールになっていますので、初心者は無視してもいいと思います。

ここで初心者の方にアドバイスです。

テーマにはどうせ完璧なものはありません。従ってテーマ選びにあまり悩んでも仕方がありません。テーマで何ができるか、やってみないと分からない部分もあり、とりあえず何かデモサイトで自分のイメージに近い(表示された画像のイメージではなく、情報の配置の仕方のイメージが近い)ものを選んで作ってみるのがいいと思います。

プログラムですので、理屈の上では、ロジックさえ成り立つものであれば、何でも作れます。実際テーマのカスタマイズに関する情報もWeb等でかなり目にします。しかしながら、これは少なくとも初心者にはお勧めしません。これをやるためには、HTML、CSS、PHP、データベースといったことに関する知識が必要ですが、それを学べばすぐできるわけではなく、更に「人が作ったプログラムを理解して修正する」とう作業が必要になります。これはかなり厄介な作業で、プログラムというのは人が作ったものを読むより、自分で作る方が時間が楽だったりすることもあるのです。

Webには断片的な情報も出ていますが、実際それをやってみて動くかどうかは分かりませんし、そのような修正をしてどこか別のところに不具合がでないとも限りません。カスタマイズ自体に興味があるという場合を除いて、たくさんあるテーマから一番良さそうなものを選択してそのまま使うことをお勧めします。

WordPressの「プラグイン」について

標準のWordPressにはない機能を追加してくれるモジュールです。こちらも「WordPress プラグイン おすすめ」等で検索すれば色々出てきます。ただ、あまりたくさん入れるとパフォーマンスに影響が出てきますし、不具合の元でもあるので、必要最低限にした方がいいと思います。私は、https://manablog.org/wordpress-plugin/を参考にさせて頂きました。

<コラム>記事を書くためのソフトについて

私はこの記事をWordPressに直接入力するのではなく、まずGoogleドキュメント(https://www.google.com/intl/ja/docs/about/)を使っています。これはWebベースのワープロのようなもので、ブラウザさえ使えればどんな端末からも自分のドキュメントにアクセスできますし、他の人に編集権や閲覧権を与えて共同作業をすることもできます。ついでに言えば、ネットさえ繋がっていれば自分でセーブしなくてもGoogleドライブに自動でセーブされますので安心です。

私がGoogleドキュメントを使っている理由は、純粋なコンテンツはコンテンツとして、公開手段であるWordPressには依存しない形で溜めておきたかったということと、公開する前にどんな方向に行くのかを見極めておきたかったからです。今この原稿を書いている時点では、WordPressのインストールすらしていません。

色々自由に考えをめぐらすツールとしてはGoogleドキュメントは非常にいいと思います。ちなみに基本無料のサービスです。