(4)WordPressで情報発信サイトを立ち上げるには(実践編)

この記事の内容について

前回は、情報公開用のWebサーバーを立ち上げるには、以下のステップが必要と書きました。

①Webサーバーをレンタルする

②ドメインを取得する

③サーバーのIPと取得したドメインを紐付けられるようにDNSサーバーの登録をする

④上記で基本的なインフラの設定は終了。あとは、WordPressのインストール→コンテンツ作成といったソフト面の作業を行う。

この記事では上記のうち、①から③までをもう少し具体的に見ていきたいと思います。④については別の記事に分けたいと思います。

最初に注意点です。①のレンタルサーバーや②のドメインの取り方については、それぞれの内容を説明したWeb情報がたくさんあります。少し注意しなければいけないのは③で、これはレンタルサーバー業者とドメイン取得業者の間を繋ぐものですので、①と②をそれぞれ個別に説明したサイトを見ていたのでは、分かりにい場合があります。作業自体は大変なものではありませんので、何をしなければいけないのかを理解していれば大丈夫だと思います。

①Webサーバーをレンタルする

サーバーは、実は自分で買ったパソコンをサーバーにして自宅に設置することもできます。しかしながら、そうするためには様々な設定やシステムのインストールに等の知識が必要なのと、運用を開始した後も自分でやらなければいけないことが多くなってしまいます。従って、大規模なサイトを法人で運営するような場合以外は、レンタルサーバーを借りるのが普通です。費用も月額千円程度からあります。 

では具体的にどこの事業者がいいかと言うと、どうも大手であれば大差はなさそうです。大手というのは、具体的にはエックスサーバー(https://www.xserver.ne.jp/)、ロリポップ!(https://lolipop.jp/)、さくらのレンタルサーバ(https://www.sakura.ne.jp/)あたりです。

強いてポイントを言うなら、WordPressを自動インストール機能がついていないと苦労することになりますが、大手であれば大抵はついているようです。ちなみにこのサイトは最大手のエックスサーバーにしました。迷ったらエックスサーバーにしておいて特に問題はないと思いますが、「レンタルサーバー 比較」といったキーワードでGoogle検索すれば色々なサイトがヒットします。あと、参考書を買って勉強するという人は参考書によっては特定のレンタルサーバーを前提に説明している場合もあります。

いずれにしてもサーバー会社毎、画面毎に設定方法を説明したサイトはたくさんありますので、そちらをご参照下さい。

②ドメインを取得する

ドメインの取得は早い者勝ちです。ドメイン取得業者もいくつかありますが、どこか迷ったら「お名前.com」(https://www.onamae.com/)で特に不都合はないと思います。ドメインの種類にもよりますが、新規に取得するのであれば、年間数十円から十万円くらいで取得できます。

インターネットの黎明期には、一般的な名称のドメインをたくさん取っておいて、後で転売をして利益を出した人もいたようです。また、日本の大企業の中でも会社名.co.jpのドメインは「将来使う可能性があるので」取得しておいても、.comドメインまでは取得しない会社もありました。そういう会社を狙って会社名.comのドメインを取得した上で、それを買わないかという高額なオファー、実際には脅しと解釈できますが、を行う人もいて問題になったりしました。

自分のサイトのコンセプトを考えながら、それに合致していて、かつまだ誰にも取られていないドメインを探すというのは、夢があって楽しい仕事です。値段も数十円からと安いものもありますし、この作業を最初にやってみるのもいいのではないでしょうか。

下の画面はお名前ドットコムでドメインの取得可否と検索している画面です。この画面で取りたいドメインが見つかれば、それをカートに入れて購入するだけと、驚くほど手軽に自分だけのドメインが取得できてしまいます。

お名前ドットコムで自分専用ドメインをショッピング

③DNSサーバーの登録をする

このサイトは、お名前ドットコムでドメインを取得、エックスサーバーでサーバーを借りています。この組み合わせでの作業の説明は、例えば「お名前ドットコム エックスサーバー ドメイン 設定」というキーワードでGoogle検索すれば画面毎の説明をしてくれているサイトがたくさん出てきますのでそれは省略します。

ここではこういった設定をする目的・理由について少し突っ込んで説明したいと思います。

DNS(Domain Name System)の仕組み

ドメインは、一番右側からトップレベルドメイン、第2レベルドメイン、第3レベルドメインと呼ばれています。例えば、yahoo.co.jpであれば、.jpがトップレベルドメイン、.coが第2レベルドメイン、yahooが第3レベルドメインです。

DNSではまずトップレベルドメインを管理するサーバーに問い合わせをします(※)。そうすると第2レベルドメインを管理しているサーバーのアドレスが返ってきて、そちらに問い合わせるように言われます。そちらに問い合わせると今度は第3レベルドメインを管理しているサーバーのアドレスが返ってくるというように最終的にアクセス先サーバーのIPアドレスが判明するまで問い合わせを繰り返していきます。

※検索の起点となるこのサーバーはルートサーバーと呼ばれ、全世界に13個しかありません。インターネットアクセスのたびにルートサーバーに問い合わせが行っていたらパンクしてしまいますが、実際にはそうではなく、前と同じ問い合わせはキャッシュ(一時保存データ)を参照して、同じ問い合わせを防ぐ仕組みになっています。

DNSサーバーの設定の仕方

最終的にアクセス先サーバーのIPアドレスを返すのは、レンタルサーバー会社(例えばエックスサーバー)のDNSサーバーでしょうか? それともドメイン取得会社(例えばお名前ドットコム)のDNSサーバーでしょうか? 答えを言ってしまうと設定次第で両方の可能性があります。

サーバーはレンタルサーバー会社の持ち物ですので、IPアドレスを設定するのはレンタルサーバー会社です。一方、DNSに関する問い合わせは、ドメイン取得会社にまず入ります。(どこのサーバーを使っているのかを問い合わせているわけですから、いきなりエックスサーバーに問い合わせができるはずはないですよね。)

ドメイン取得会社はこの問い合わせに対する答え方として以下の二つのいずれかを選択することができます。(お名前ドットコムは実際にそれが可能ですが、他のドメイン取得会社についてどうかは、調査しておりませんので、皆さんでお願いします。)

1)レンタルサーバー会社の設定したIPアドレスを返す

2)レンタルサーバー会社のDNSサーバーを返す(レンタルサーバー会社のDNSサーバーに聞いてくれと答える。)

1)の場合はレンタルサーバー会社からIPアドレス情報を入手して入力しておく必要があり、2)についてはレンタルサーバー会社からDNSサーバーの名前を入手して入力しておく必要があります。どちらを選択してもいいのですが、1)の方が少しだけ手間がかかるので2)の方法を案内している場合が多いようです。

まとめ

ここでは独自ドメインを取得して、サーバーを立ち上げるためのインフラに関する作業内容を説明しました。

ここでの説明は、個々の操作内容というよりはその操作が必要になる背景・理由が主になっています。また、説明は正確さよりも理解のしやすさに重きを置きました。実際の作業にあたっては事業者のマニュアル等を参照して確認して頂ければと思います。

次回は、このインフラに乗せるソフトウェア(WordPress及び周辺システム)について説明したいと思います。